取締役・株主間トラブルについてお困りではありませんか?
問題のある取締役がいて困っている、会社と取締役の間でトラブルが起こってしまった、株主と取締役との間で意見が合わず困っている、などの問題が起こっていませんか。取締役・株主間の紛争に関する問題は、会社内で適切に対応することは難しい問題と言えます。しかしこのような問題は解決に時間がかかってしまうと、業務に支障をきたしてしまうことも多い問題です。本記事では、取締役トラブルの典型的な事例とその対処法について林法律事務所代表弁護士 林宗範が解説いたします。
取締役トラブル:取締役と意見の対立があるため、解任したい
取締役と取締役の間で経営に対する意見の対立が生じ、経営方針がうまくまとまらなくなってしまったため、取締役を解任したい。
このような状況になったことのある取締役の方も多いのではないでしょうか。では実際に取締役の解任が可能なのかどうかについて解説していきます。
取締役は、株主総会で解任決議を行うことで解任することができます(会社法339条1項)。しかし解決決議を行うためには、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数の賛成が必要になります。
また、解任自体は理由なく行うことも可能ですが、正当な理由なく解任してしまった場合、解任した取締役から損害賠償請求をされてしまうこともあります。ここでの「正当な理由」が存在する場合とは
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- 不正の行為や定款または法令に違反する行為があった場合
- 取締役が経営に失敗して会社に損害を与えた場合
- 当該取締役の経営能力の不足により客観的な状況から判断して将来的に会社に損害を与える可能性が高い場合
であり、経営方針の違いなどは、正当な理由として認められません。
つまり、最初に挙げたような状況において取締役の解任を行った場合、会社は損害賠償請求を受けるリスクが高く、その請求を退けることは極めて困難であるといえます。
取締役トラブル:解任した取締役から損害賠償請求を受けた
実際に損害賠償請求を受けてしまった場合、対処する必要があります。会社法339条2項によると、解任された取締役は解任に正当な理由がなければ、解任後に損害賠償請求をすることができます。請求できる損害賠償額は、役員が解任されなければ本来受け取るはずであった利益の喪失分となるため、残存任期が長いほど請求額が多くなります。
ですから、事前の対策としては、取締役の任期を見直しておくということも挙げられます。中小企業の場合、取締役の任期が長すぎる場合も散見されます。そして、損害賠償請求が支払われるべきかどうかについての検討は、先ほど確認した「正当な理由」が解任理由になっているかどうかという観点から行われます。「正当な理由」が認められる場合、損害賠償請求を退けることが可能ですが、認められない場合は損害賠償を支払う必要があります。
解任理由の検討や訴訟の対応は弁護士のサポートが必要な部分が多く、早い段階で専門の弁護士に相談することが、問題の円滑な解決のために必要になってきます。対応次第では、訴訟を受けた後の和解も可能になってきます。
取締役トラブル:取締役を解任できないときは?
取締役と経営方針が合わず経営に支障をきたしていても「正当な理由」がないと何も対応できないというわけではありません。解任してしまうと訴訟のリスクを避けられない場合、取締役との相談を重ねたうえで合意退職や取締役の辞任という対処法をとることもできます。いがみ合ったままではお互いの為にならないと考え、自ら退職に応じる場合もありますし、一定程度の解決金をお支払いする方法もあるかと思います。
取締役の退任に関しては、取締役が従業員の地位を有するのかどうかについて(労働法の対象者に当たるのかどうかについて)の検討も必要になってきます。代表取締役の場合は従業員に当たらないとされることが多いですが、従業員の地位に該当する取締役の解雇は、客観的に合理的な理由と社会的相当性が欠けている場合無効となってしまいます。また、取締役が従業員の地位にある場合、従業員規則に基づいた退職慰労金の支払いが必要になるケースもあります。
ですがこれらの法的条件をきちんと確認したうえで話し合いを行うことで、双方の合意の上、円満に取締役の退任を進めることも可能になります。
トラブルを避けるために
取締役や株主にかかわる紛争の類型を解説してまいりましたが、これらの問題はすべて、会社内部だけの力で解決することは非常に難しい問題となっております。そのため取締役や株主にかかわるトラブルが生じてしまったときには、弁護士によるサポートを受けたうえで手続きを進めることが、会社にとって最もリスクを軽減できる対策となります。また、通常の解任では損害賠償請求が避けられないという場合、合意退職を進めるなどのほかの手段をとることもできます。このような取締役・株主間のトラブルは対応を誤ってしまうと大きな損害につながり事業への影響も懸念されますので、すぐに相談できたり、事前に準備できるよう企業の顧問となる弁護士がいると、よりスムーズな対応が可能となります。
まずは弁護士に相談してから手続きを進めることが必要になります。当事務所ではご依頼企業様それぞれの事情に合わせて、最も適切な対処法を模索し、ご対応いたします。お気軽にご連絡ください。
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Last Updated on 12月 11, 2023 by hayashi-corporatelaw