スポーツ法務とは
スポーツ法務は、スポーツ業界固有の法的課題を専門とする法律分野です。選手、チーム、リーグ、スポンサー間の契約交渉、知的財産権の保護、競技規則の遵守、ドーピング規制問題など、スポーツに関わる問題は幅広くあります。また、スポーツ法務の問題においては、日本国外の法律についても気を配る必要があり、通常の法律問題とは一線を画した分野となっています。しかし近年ではスポーツに関わる規制も厳格化しており、アスリートをサポートする企業においても、スポーツ法務に対するアンテナを張り、法的な側面からも体制を整備することが求められています。
スポーツ法務において問題になりやすい分野
スポーツ法務分野におけるトラブルは様々ですが、具体的には以下のような問題が起こりやすいといえます。
スポンサー契約等の契約に関する問題
プロのスポーツ選手の多くが、競技活動を続けていくうえでスポンサー契約を企業と結んでいます。一般的にスポンサー契約とは、企業が選手の競技活動を経済的な側面からサポートする代わりに、選手が企業のプロモーションになる活動をすることです。具体的には、スポンサー企業のロゴが入ったユニフォームを試合に出場する際に着用する、スポンサー企業が提供するスポーツ用具(陸上競技におけるシューズや、テニスのラケットなどが挙げられます。)を使用する等の形態が多くみられます。また、近年ではSNS等で選手が積極的にプロモーションを行うこともあります。
スポンサー契約を締結する前に、選手と企業の双方にとって有益な契約となっているのかどうか、契約内容に不備がないかどうかなどをきちんと確認する必要があります。また、プロスポーツ選手の入団時の報酬金等に関する契約の際にも、後々のトラブルを防ぐため、最初の契約時点で内容をきちんと取り決めておく必要があります。
選手のけがや競技中の事故に関する問題
スポーツをやる上で、どうしてもけがをしてしまったり、競技中に事故にあってしまったりすることは起こります。けがをしてしまった、事故にあってしまった場合のリスクに備え、常日頃から信頼できる相談相手を見つけておくことが、もしもの時の安心につながります。
ハラスメント問題
スポーツの世界では、指導者の力が強く、どうしても選手が弱い立場になってしまいます。そのため、パワハラや体罰などのハラスメント問題が、黙認され続けている場合があります。これらの問題は発覚してからの対応方法には留意する必要があるため、なるべく早く弁護士などの法律の専門家に相談したうえで対応する必要があります。
肖像権・マスコミ対応などに関する問題
スポーツの分野において試合の様子などを撮影することは、選手のプレーの妨げにならない範囲では基本的に認められています。しかし試合や競技中ではなく、完全なプライベートの写真の盗撮などは肖像権侵害に当たると考えられます。
また、アスリートにおいては取材などを通じたマスコミ対応も必要になってきます。これらの対応を進めるうえで、法的な観点から適切な対応方法についてアドバイスを行う、あるいは代理人として対応を代わりに行うなどのサポートをすることが可能です。
スポーツ法務に関して弁護士ができること
スポーツ法務において、弁護士は以下のようなサポートをすることができます。
スポンサー契約等各種契約のリーガルチェック
アスリートに関わる際に、多くの場合は企業と選手の間で契約が交わされます。アスリートとの契約は個々人によって内容にばらつきがある場合が多く、毎回同じ契約書を使用してしまうと、後々のトラブルにつながってしまいます。私たち弁護士は、それぞれの選手・企業の実態に合った形で適切な契約書を作成することができます。また、既存の契約書の見直し及びリーガルチェックも可能です。また、選手がSNS等で不用意な発言をしないように指導したり、企業のイメージダウンとなるような発言をしないよう指導することも必要です。
競技中のけが、事故に関する諸問題の対応
自社に所属するアスリートがけがをしてしまったり、事故にあってしまったりした場合に、相手方とのやり取りの代行業務や、示談の交渉などを行うことができます。
ハラスメント問題の対応
スポーツの世界で起こったハラスメント問題について、紛争などが起こってしまった場合の紛争対応を行うことが可能です。また、ハラスメント問題を防ぐための規定の整備においても、法的な観点から助言をすることができます。
その他交渉・対応の代理
何かトラブルが起こってしまった際の訴訟交渉の代理人や、所属する選手を守るための代理人としての交渉、マスコミへの対応などを行うことができます。
スポーツ法務に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひご相談ください
スポーツ法務に取り組む事務所はまだまだ少ないというのが現実です。また、スポーツと法律の関連性についてもあまり認知されていないのも事実です。しかし、スポーツに関わるトラブルは、法的な観点からしっかり対応する必要があります。
スポーツに関わるトラブルやお悩みをお持ちの方はぜひ一度ご相談ください。
Last Updated on 4月 13, 2024 by hayashi-corporatelaw