事業を行う上で切っても切り離せないのが契約です。オフィスの賃貸借契約や、他社への業務委託契約など、その種類は多岐にわたります。しかし十分な確認の上で契約を進めたつもりでも、契約トラブルが発生してしまうことがあります。
「契約書にサインしたはずなのに、話が違う」「代金を支払ったのに商品が届かない」「制作物の仕様が契約と異なる」といった問題に直面した場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。本記事では、金融機関出身の弁護士が、企業における契約トラブルの類型とその解決方法について解説いたします。
契約トラブルが起こりやすい契約パターン
契約トラブルは、様々な状況で発生しますが、特に以下のパターンでトラブルに発展しやすい傾向があります。
口約束のみの契約
書面での契約書がない場合、後から「言った」「言わない」の水掛け論になりやすく、トラブルの要因となります。
契約内容が曖昧な契約
サービスの内容、納期、支払い条件などが不明確だと、認識のずれが生じやすく、トラブルの原因となります。
多額の金銭が絡む契約
不動産の売買や高額なサービスの契約など、金銭の動きが大きいほど、トラブル発生時の影響も大きくなります。そのため慎重に契約を進める場合がほとんどですが、中にはトラブルに発展してしまう事例もあります。
下請法に関する契約
契約書を守らずに、親事業者と下請事業者の間で下請代金の減額や一方的なやり直しなどが不当に行われ、トラブルになる場合があります。
契約トラブルに対する対処法
契約トラブルに直面した場合、状況に応じて様々な対処法が考えられます。一般的には①損害賠償請求、②契約解除、③内容証明郵便、④訴訟の提起、⑤強制執行、の順序で解決するまでやり取りを進めるという場合が多いです。
①損害賠償請求
契約違反によって損害を被った場合、その**損害の賠償を請求**することができます。例えば、商品が期日までに届かなかったために、別の方法で商品を調達する費用がかかった場合、その費用を相手に請求することができます。損害賠償の範囲は、契約の種類や具体的な損害の内容によって異なります。
②契約解除
相手方が契約内容を履行しない場合や、契約の目的が達成できないと判断される場合、**契約を解除**することができます。契約が解除されると、その契約は初めから存在しなかったことになり、すでに支払った金銭の返還や、原状回復を求めることが可能になります。ただし、契約解除が認められるには、一定の要件を満たす必要があります。
③内容証明郵便
内容証明郵便は、「いつ」「誰が」「誰に」「どのような内容の文書」を送ったかを郵便局が公的に証明してくれるサービスです。相手方に契約内容の履行を請求する場合、債務不履行の事実を通知し損害賠償の請求や契約解除の通知をする場合など、法的な意思表示を行った証拠を残したいときに有効です。相手に心理的な圧力をかけ、話し合いや解決を促す効果も期待できます。
④訴訟の提起(裁判)
話し合いによる解決が難しい場合や、相手方が請求に応じない場合には、訴訟(裁判)を提起することも検討します。裁判では、裁判官が双方の主張や証拠に基づき、法的な判断を下します。判決が出れば、その内容に従って強制的に権利を実現することが可能になります。しかし、時間や費用がかかること、精神的な負担が大きいことも考慮する必要があります。
⑤強制執行
裁判で勝訴判決を得たにもかかわらず、相手方がその判決に従わない場合、強制執行の手続きを取ることができます。例えば、相手が金銭を支払わない場合は、相手の財産(預貯金、不動産、給料など)を差し押さえることによって、債権を強制的に回収することが可能です。
弁護士に相談するメリット
契約トラブルに巻き込まれた際、弁護士に相談することには多くのメリットがあります。
①解決までの期間短縮
契約トラブルは、放置すればするほど複雑化し、解決に時間がかかる傾向があります。弁護士は法律の専門家として、トラブルの状況を正確に把握し、最適な解決策を提示します。交渉や法的手続きをスムーズに進めることで、解決までの期間を大幅に短縮することができます。
②煩雑な手続きの代行
内容証明郵便の作成、訴訟の提起、証拠収集など、契約トラブルの解決には専門知識と煩雑な手続きが伴います。これらの手続きを弁護士に任せることで、ご自身で対応する時間や労力を省き、精神的な負担を軽減することができます。
③企業の今後を考えた交渉
特に企業の契約トラブルの場合、単に目の前の問題を解決するだけでなく、企業の今後のビジネス展開やブランドイメージも考慮に入れた交渉が重要になります。弁護士は、法的な視点だけでなく、ビジネス全体を見据えた戦略的な交渉を行うことができます。
契約交渉は林法律事務所までご相談ください
林法律事務所では、元金融機関出身の弁護士が、金融機関に勤務していたころのビジネス感覚を活かし、貴社のビジネスを進めるために最適な交渉条件をご提案させていただきます。
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Last Updated on 5月 26, 2025 by hayashi-corporatelaw