未払い残業代とは
未払い残業代とは企業に本来支払い義務があるのにも関わらず、従業員に支払われていない残業代のことを言います。企業は、労働基準法によって、社員に対して法定時間を超えた分の時間外労働や、深夜労働、休日労働をさせた場合に残業代を支払うことが義務づけられています。この支払いが行われていなかったり、支払われている金額が著しく低かったりする場合に、未払い残業代が発生することになります。
未払い残業代を請求された場合の対応方法
残業代請求をされる場合、従業員との直接の交渉になる、又は内容証明郵便によって請求される場合が多いです。これらの請求を受けた場合に、会社側のレスポンスはなるべく早く行うことが重要ではありますが、従業員側の請求が誤っている可能性もあります。そのため、通常は以下のような手順で進んでいくことが多いです。
未払い残業代の計算
まずは請求されている金額に誤りがないかどうか、未払い残業代の金額を正確に把握する必要があります。計算する場合には、タイムカードや勤怠システムを参考にしながら行います。もし金額にずれが出てきた場合には、従業員側と会社側のどちらが正しいのか見極める必要があり、早い段階で弁護士などの専門家に相談し、金額の確認を行ってもらうことが重要です。
和解か反論のどちらで対応するか検討
残業代の計算結果をもとに、和解での対応か反論するかの対応方法を決めていきます。
請求金額が妥当である場合には、裁判を起こして争ったとしても請求が認められる可能性が高いため、請求額をそのまま支払う又は和解金を提示し、それを支払うことで解決するほうが穏便です。和解をする場合にはその後のトラブル防止のためにも、合意書等の書面を締結しておくことをおすすめします。
一方で、残業代請求に対して会社として反論の余地がある場合には、労働審判や裁判などによって争うことになります。
労使間の話し合い
会社側が反論する場合には労働審判や裁判で争うと上述しましたが、実際に労働審判や裁判を行うとなると大変な労力がかかります。また、これらの対応は専門的な知識が求められる場面も多く、事業主だけでの対応は非常に難しくなります。
これらの事業を考慮し、まずは労使間の話し合いによって解決を目指します。
(話し合いで解決しない場合)労働審判・訴訟による解決を目指す
話し合いによっての解決が見込まれない場合には、労働審判や訴訟になる可能性もあります。労働審判や訴訟に発展した場合には、より徹底的な準備が必要になってきます。企業側の損失を最小限に抑えるためにも、専門家と連携して対応を進めていきましょう。
また、もし従業員側の主張が間違っているとしても、労働審判や訴訟には誠実に対応をしていきましょう。この対応を誤ると、従業員側の請求が通ってしまう可能性もあります。
残業代請求に対する対応の注意点
残業代請求に対する対応をする場合には、以下のような点に注意をいただく必要がございます。
残業代請求を無視しない
最も大事なのが、残業代請求に対して真摯に行うことです。よくあるパターンとしては、すでに退職した従業員からの残業代請求に対して対応をせずに放置するという場合ですが、無視しているとより事態が悪化してしまう場合がほとんどです。
証拠の請求にはきちんと応じる
残業代請求に当たって、従業員から証拠となりうるタイムカード等の残業実績の開示を求められる場合もあります。このような場合にも要求通りに証拠の提供に応じましょう。仮にここで拒否しても、のちの裁判などで開示が必要になりますので、素直に開示することをおすすめします。
労働時間の管理体制を見直す
残業代請求に対する直接的な対応ではないですが、今後の残業代請求トラブルを防ぐためにも現在の労働時間の管理体制の見直しはぜひ行うことをおすすめします。
よくあるパターンとしては①残業代の管理や労働時間の管理がずさん②労働契約の内容に誤りがある③サービス残業が定例化している などが要因として考えられるため、労働時間の管理方法や労働契約の見直しが必要です。
弁護士に相談するメリット
弁護士に相談するメリットとしては以下のような部分が挙げられます。
残業代請求に応じるべきかの見極めが可能
残業代請求において争点となるのは、請求金額の妥当性です。弁護士に相談すると、残業代の正確な計算をはじめ、請求が正しいかどうか、企業がどのような対応をしていけばよいかのアドバイスが可能です。
労働審判や訴訟対応も可能
もし話し合いによって解決ができず、労働審判や訴訟に発展してしまった場合にも、弁護士であれば継続して対応を進めることが可能です。煩雑な事務手続きはもちろん、審判や訴訟で必要な証拠集めなども協力してもらうことができ、経営者としては通常業務へ集中することができます。
労働契約や就業規則の見直し等、再発防止にも対応が可能
残業代請求を再び受けないための再発防止策についても、弁護士であれば対応することが可能です。労働契約や就業規則の見直し、労働時間の管理体制改善に向けたアドバイスなど、再発防止に向けた社内体制づくりをサポートしてもらうことはできます。
残業代請求トラブルについては、林法律事務所までご相談ください
ある日突然残業代請求を受けて、戸惑ってしまう経営者の方も少なくありません。しかし、残業代請求は適切に対応することで企業のイメージ損失は最小限に抑えることができます。従業員からの残業代請求についてはぜひ林法律事務所までお気軽にご相談ください。
Last Updated on 7月 23, 2025 by hayashi-corporatelaw