建設業の破産について、法的注意点を弁護士が解説!

  • 法人破産

このコラムでは、特に建設業における法人破産について、建設業特有の破産する際の特徴や注意するべきポイントについて、企業側の弁護士が解説いたします。

建設業界の動向

2020年から猛威を振るった新型コロナウイルスも徐々に落ち着き、人々の生活は落ち着きを取り戻しつつありますが、依然として建設業界への影響は大きく影を落としています。

資材高騰と円安によるダブルパンチ

東京オリンピックを契機として、日本国内では様々な再開発事業が推し進められてきましたが、コロナ渦による相次ぐ建設中止や受注低迷をうけ、「建設バブル」とまで詠われた建設業界は大きなマイナスの影響を受けています。

また、2022年には、コロナ後の需要回復によって木材や鋼材、原燃料の高騰や急激な円安進行により、建築業界にとっては未曾有の資材高騰に直面した波乱の年となりました。

高齢化と後進育成の課題

建設就業者は1997年をピークに減少傾向、そのうち1/3以上が55歳以上の高齢者が占めている一方で、29歳以下の労働者は全体の約11%にとどまっており、これらの2つの差分にどう対処するかが重要課題であるとされています。

厳しい労働環境

建設業界では他業種に比べて労働時間が長い傾向にあることや、週休二日制がなかなか進んでいないなど、解決すべき課題がまだまだ多く残っています。

建設業の破産における特徴

建設業では、ほかの業種に比べて一つの建築請負契約あたりの債権額が大きいため、取引先1社あたりの債権額も高額となります。

また、各種工事を下請業者に請け負わせることが多いため、利害関係人の数も他業種と比べて多い傾向にあります。

そのため、建設業会社が破産する場合は周囲への影響が大きくなることから、利害関係のある人同士の関係を調整しつつ、迅速かつ的確に破産手続きを進める必要があります。

建設業において特に注意すべきポイント

建設業においては、工事の依頼を受けているかどうか、現在工期中の契約があるかどうかなどについて検討する必要があります。

1.建築請負契約の扱いについて

破産する会社は、一般的には破産した時点で仕掛工事を中止し、建築請負契約を解除します。

破産が決定した後でも、裁判所の許可を受けて仕掛工事を完成させることもできますが、労災事故が発生した場合の補償リスク等のリスクを鑑みて、仕掛工事を中止することが多いです。

2.仕掛工事の請負代金について

1のとおり、破産会社が建築請負契約を解除した場合には、工事にかかる請負代金の取り扱いにおいても注意すべきポイントがあります。

建築請負契約では、多くの場合、建築工事の進捗状況に応じて請負代金が支払われます。その場合、破産した時点で既に一部の請負代金が支払われていることになります。

すでに支払われた請負代金よりも、破産手続開始時点における仕掛工事の報酬額のほうが高い場合には、破産会社は注文者に対して、報酬額からすでに支払われた請負代金を差し引いた金額を請求できます。

また、すでに支払われた請負代金よりも、破産手続開始時点における仕掛工事の報酬額が低い場合には、注文者が過払いとなっている報酬の返還を請求できます。

元請業者、下請業者とのやり取り

請け負った工事を完了したにもかかわらず、請負代金の支払を受けられていない場合は、早急に支払ってもらう必要があります。建設業者には建設業法24条の3で、「元請業者は、注文者から出来高払または完成払を受けたときは、下請業者に対し、当該支払を受けた日から1か月以内で、かつ、できる限り短い期間内に下請代金を支払わなければならない」と定められているため、請負代金の早期回収をしなければなりません。

また、自社が下請業者と請負契約を締結している場合には、建設業法に基づいて、下請業者に適切に代金を支払う必要があります。

下請業者とは、該当する契約の種類が問題になることもあるため、依頼許諾の自由の有無・業務遂行上の指揮監督の有無・時間や場所的拘束性の有無・報酬の算定、支払い方法などの要素から適切に判断しなければなりません。

弁護士に相談するメリット

メリットは箇条書きの方がわかりやすいので以下の形式にしていただけると助かります(以下項目参考に書いたので、それぞれについて説明を追加してもらえますでしょうか)

建設業において弁護士に早期に相談すると、以下のようなメリットがあります

破産に伴う手続きをスムーズに行うことができる

→倒産手続きには様々なパターンがあり、非常に複雑で、会社によってとるべき手続き方法が異なります。例えば、任意整理、破産手続、特別清算手続、民事再生手続、会社更生手続など、様々な方法があります。弁護士に相談することで倒産手続き方法の的確なアドバイスをもらうことができ、スムーズに手続きを進めることができます。

関係者への影響を最小限にとどめることができる

→早期に弁護士に相談することで、会社の財産を適切に保護しながらも、債権者への配当原資を確保できたり、請け負っていた工事を継続するのかどうかの保証問題など、対処しなければならない問題を適切に処理することが可能です。また、無用の混乱を防ぐため、秘密裡に準備を行うことができます。

債権者からの催促などのストレスから解放される

→破産に関する手続きをしないままに事業を終了させてしまうと、債権者から一方的な債権回収を受ける可能性があります。

しかし、弁護士にご依頼いただくと、各関係者からの連絡を弁護士に一本化することができるため、依頼者の方が債権者とやり取りをする必要は一切ありません。破産手続準備から申し立てまで弁護士によって進めることができるので、依頼者の方の心的負担の軽減につながります。

破産以外の選択肢も検討できる

→会社が債務超過になった場合、すぐに破産が必要というケースは決して少なくはありません。破産の決断をする必要があるのか、再建の道が残されているのかは、会社の状況に応じて適切に判断する必要がありますが、迅速に対処するほどに、会社にとってプラスになる解決策の幅が広がります。

法人破産をご検討の方はお早めに弁護士までご相談ください

建設業の破産においては、上述のとおり、仕掛工事の問題など、特に注意しなければならない点がいくつかあり、複雑な残務処理が多く発生します。

しかし、弁護士に相談すれば、このような様々な対応を一任することができます。

建設業会社の経営が上手くいかず倒産を考えているなら、一人で悩まずに、まずは法人破産手続き分野に詳しい弁護士に相談してください。また、破産をするにも費用がかかります。早く弁護士に相談することで、破産するための費用を確保しやすくなります。

林法律事務所では、金融機関での勤務経験も踏まえ、法的な観点、経営的な観点の両面から、経営者の皆様の悩みに寄り添い、全身全霊でサポートすることができます。

少しでもお悩みをお持ちの方は、お気軽にご相談ください。

Last Updated on 8月 13, 2024 by hayashi-corporatelaw