社外役員

社外役員とは

 会社法で「役員」として定められている役職は取締役、監査役、会計参与の三つの役職です。このうち社外役員としては社外取締役、社外監査役の役職が挙げられます。社外役員とは、役員の中でも企業とは利害関係にない立場にある人のことを言います。社外役員は、企業と利害関係になく、その企業でいわゆる「たたき上げ」のように育てられているわけではないため、企業独自の風土や文化に左右されない客観的な立場からの社内統制や経営戦略へのアドバイスなどの役割が求められています。また、2021年に会社法が改正され、上場企業には社外取締役の設置が義務化されました(会社法327条の2)。

 法改正もあり、社外役員を選出したほうが良いと考えている経営者の方も多いのではないかと思います。しかし、社外役員はどのような人に依頼すればよいのか、社外役員を選出するにあたって準備するべきことが何かわからないという経営者の方も少なくありません。

 本記事では社外役員についてその要件や選び方等について、林法律事務所の代表弁護士 林宗範が解説いたします。

社外役員の要件と役割

 社外役員の選任方法は、通常の役員の選任と同じように、株主総会の普通決議によって選任し、正式に決定したらその候補者と委任契約を結ぶことによって選任することができます。

 社外役員には社外取締役と社外監査役の二つがありますが、その要件として共通する部分としては

・就任の前10年間において該当企業の役員であった経験がないこと

・該当企業の取締役、執行役、支配人等の重要な役職の人物の配偶者または2親等内の親族ではないこと

の2点があげられます。これは、社外役員は企業と利害関係にないという条件を満たすために必要な条件となっています。

 しかし、同じ社外役員であっても、社外取締役と社外監査役に求められる役割は全く異なります。

社外取締役に求められている役割は、コーポレートガバナンスの実現です。組織ぐるみの不祥事などが起こらないよう経営者を監視し、企業全体として正しい運営ができているかどうか始動する役割が求められています。また、経営者への助言や、ステークホルダー(株主、取引先、従業員など)の意見を経営者に届ける橋渡しのような役割を担うことも求められています。また、社外取締役も取締役会に出席する必要があります。

 社外取締役に求められている役割が主に経営方針の監視や指導中心であるのに対し、社外監査役に求められる役割は、監査業務です。業務は大きく分けて取締役が法令や定款を遵守しているかどうかを監督する業務監査と、企業の会計方法が正しいか、企業規模での粉飾などが行われていないかどうかをチェックする会計監査の二つです。

 社外役員は取締役か、監査役かによって仕事内容が異なるため、それぞれどのような立場の方をお迎えするかが重要になってきます。

社外取締役・社外監査役の選び方

 では社外取締役の人物像はどのように決められる場合が多いのでしょうか。先ほど確認したように、社外取締役に求められる役割は、企業内部のみの価値観とは異なる視点からの経営方針への助言、他の取締役や社内役員による業務執行の監視など、経営方針に関する比較的幅広い助言が求められます。そのため、経営に対する理解があり、経営層との対話や経営に対する助言ができる元経営者の方や、法令に精通しており法令を遵守した経営を行っているかどうかを監視できる弁護士などに社外取締役を依頼するのが望ましいと言えます。

 一方、社外監査役には企業へのアドバイスなどは求められていません。社外監査役は企業の監査を行うため、監査業務に精通している弁護士や公認会計士・税理士などの専門家に依頼しましょう。また、監査役を設置する場合監査役は最低3人以上必要で、うち2人以上は社外監査役である必要があります。そのため、社外監査役の設置を考えている経営者の方は、監査役を依頼できるような弁護士や公認会計士などを最低でも2人は選任する必要があります。

 社外役員としての人材は近年多くの企業で求められていますが、その募集方法はいまだに紹介やツテに頼っている企業が多いという現状もあります。自社が求める社外役員を見つけるためにも、求めているスキルが何か、専門性のある知見が必要なのか、報酬はいくら程度を見込んでいるのかなどの情報を整理したうえで、エージェントなどのサービスの利用も考慮しつつ、探してみましょう。

社外役員を弁護士に依頼するメリット

 近年では社外監査役だけではなく、社外取締役にも弁護士を選出する企業が増加しています。弁護士を社外取締役に選出するメリットとしては、下記の点が挙げられます。

1.経営に法律の観点からの助言が加わる

経営に弁護士を加えることによって、法的な観点から企業のトラブルに対するリスクを回避する経営判断が可能になり、企業の安定経営に繋がります。

2.コンプライアンスの強化や危機管理対応の充実

もし不祥事が起こったときの対応をより迅速に行うことができ、事態が悪化することを防ぐことができます。また、社内におけるコンプライアンスの強化に協力してもらうこともできます。

3.違法行為に対するけん制

社外取締役に弁護士がいるということで、社内取締役や管理職による不正・違法行為に対する抑止力としての効果が見込めます。社外取締役に就任することで、社内にリーガルチェックがしっかりと行き届くため、違法行為の防止につながります。

 また近年、女性の社会進出が重要視されているという傾向、女性弁護士の増加を背景に女性弁護士を社外取締役に選出する企業も増えています。

社外役員についてお悩みの方は弁護士までご相談ください

 社外役員を設置する大きな目的としては、外部の人を経営や財務に加えることによって企業を監視することです。しかし、社外取締役と社外監査役では求められている役割や業務内容が大きく異なります。そのため、それぞれに適した人材に就任を依頼する必要があります。

 企業経営の透明化のためにも、社外役員を活用し、経営に新たな視点を加えることは、企業評価の向上という点からも大きな意義があります。そして、当事務所代表弁護士は、元銀行員であり、自ら企業の経営もしていますから、経営者の皆さまに適切な助言が可能です。社外役員についてのお悩みをお持ちの経営者の方は、お気軽に当事務所にご相談ください。

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    Last Updated on 12月 11, 2023 by hayashi-corporatelaw

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